「障害者社員を評価するのが難しい」——この悩みを抱える管理職は少なくありません。厳しく評価すれば定着が阻まれ、甘く評価すれば本人の成長機会を奪います。このジレンマを解く鍵は、「成果指標(KPI)」と「成長指標」を分けて設計し、両方を同時に運用することです。

評価の2つの軸:「今の成果」と「成長の速度」

障害者社員の評価で最初にやるべきことは、「評価の軸を2つに分ける」ことです。第一の軸は「成果指標(KPI)」——週次タスク完了数・品質スコア・納期遵守率など、業務の結果を測る定量的な指標です。第二の軸は「成長指標」——スキル習得の進捗・自己解決率の上昇・改善提案数など、「この人がどれだけ成長しているか」を測る指標です。

この2軸を分けることで、「成果が低い月でも成長があれば評価される」「成果は高いが成長が止まっていたら対話が必要」という多面的な評価が可能になります。精神障害を持つ方の場合、体調の波によって「成果指標」が変動することもありますが、「成長指標」が上昇していれば「成長の過程にある」と評価できます。

評価制度設計の4ステップ

まず入社直後(または入社前)に、本人と一緒に「評価基準・目標値・評価頻度」を文書で合意します。これがないと「知らないうちに評価されている」という不安が生まれます。次に、評価のデータソースを自動化します。Plannerのタスク完了数・SharePointの成果物レビュー結果・Teamsのコミュニケーション頻度——これらは既存のツールから自動で収集できるため、評価の客観性が保てます。

評価面談では「成果指標」の確認と同時に「成長指標」の振り返りを行います。「先月はタスク完了率が85%でした(成果)。一方で、Power Automateのフローを3本新しく構築できました(成長)。この調子で次はSharePoint連携フローに挑戦しましょう」——このように成果と成長をセットで語ることで、本人も「どこで評価されていて、次は何を目指せばいいか」が見えます。

「低い期待値」が本人を傷つける

評価で最も避けるべきは「障害があるから仕方ない」という低い期待値の設定です。これは一見「配慮」に見えますが、本人にとっては「自分はここで期待されていない」というメッセージとして受け取られます。適切な目標は本人と一緒に「少し挑戦的だけど、頑張れば達成できる」ラインを設定することで生まれます。

目標未達の場合も、「できなかったことを責める」のではなく「何が障壁だったか」を一緒に探ります。「タスクが多すぎた」「手順書がわかりにくかった」「体調が2週間不安定だった」——原因を特定して次の目標に活かすことで、評価は「管理」から「成長支援」に変わります。

評価項目指標例測定方法評価頻度
成果指標(KPI)タスク完了数・品質スコア・納期遵守率Planner・SharePoint自動集計月次
成長指標スキル習得進捗・自己解決率・改善提案数研修記録・1on1記録半期
行動指標コミュニケーション頻度・相談適切さTeams記録・上司観察半期

「公平な評価は、障害者社員に対する最大のリスペクトです。TSUNAGU Academyでは、KPIと成長指標を両立させた評価制度の設計支援と、実際の運用トレーニングを提供しています。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

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