「上司に質問するのが怖い」「また同じことを聞いてしまった」——障害者社員がよく口にするこの言葉は、定着を阻む見えない障壁の一つです。ChatGPTやCopilotなどの生成AIは、この障壁を静かに、しかし劇的に取り除いてくれるツールとして、障害者雇用の現場で注目されています。

生成AIが解決する「聞けない問題」

障害者社員が職場で消耗する理由のひとつに、「何度も同じことを聞くことへの罪悪感」があります。ASD特性のある方は、曖昧な手順が理解できないと先に進めなくなることがあります。ADHDの方は、一度聞いたことをすぐ忘れてしまい、再度確認することに強い恥ずかしさを感じることがあります。この「聞けない状態」が積み重なると、不安とストレスが増大し、最終的に離職につながることもあります。

生成AIは「いつでも・何度でも・気を遣わずに」聞ける存在です。「このExcelのエラーは何?」「このメールを丁寧な言葉に直して」「このフローが動かない理由を教えて」——こうした質問に即座に答えてくれるAIが手元にあることで、障害者社員の自己解決力は劇的に高まります。

事例1:上司への確認が週15回から3回に減った

発達障害(ASD)のある社員が、業務手順でわからないことをChatGPTに質問する習慣を身につけた結果、上司への確認回数が週平均15回から3回へと激減しました。本人は「AIに聞けば、いつでもどんな細かいことでも答えてくれる。ちゃんと理解できるまで何度でも聞き直せるのが助かる」と話します。

上司側も「毎日10回以上声をかけられていたのが嘘のように減った。本人が自信を持って業務を進めるようになったのが目に見えてわかる」と変化を実感しています。自己解決力の向上は、本人の自信と上司の工数削減を同時に達成します。

事例2:Copilotでメール作成のハードルを下げる

ASD・精神障害の方の中には、「適切な文章を書くのに時間がかかる」「敬語の使い方に自信が持てない」という方が少なくありません。Microsoft Copilotは「〇〇の件でお礼を伝えるメールを書いて」と指示するだけで、適切な文章を生成してくれます。本人が内容を確認して少し修正するだけで送れるため、メール対応業務のハードルが大幅に下がります。

事例3:Power Automate開発をAIとペアで進める

Power Automateのフロー構築中にエラーが発生したとき、ChatGPTに「このエラーメッセージの意味と解決方法を教えて」と聞くことで、技術的な壁を自分で乗り越えられるようになります。「AIをペアプログラマーとして使う」感覚で開発を進める障害者社員が増えており、スキル習得のスピードが大幅に向上しています。

AI活用を職場に定着させるための5つのポイント

まずは無料ツール(ChatGPT無料版、Microsoft Copilot)から始めることをおすすめします。次に「AIに聞いてみる」という習慣を根付かせるための短い研修を行い、プロンプト(質問の仕方)の基本を全員が学ぶ機会を設けます。AI活用の成功事例が出たら積極的に社内で共有し、横展開していくことで組織全体にAI活用文化が広がります。なお、セキュリティポリシーに沿った利用ルールを事前に策定しておくことも忘れずに。

TSUNAGU Academyの研修プログラムには、生成AI活用の基礎が含まれています。「AIを使って自走できる障害者社員」を育てる支援を、研修段階から行っています。

まずは無料相談でお気軽にご連絡ください。

無料相談する

この記事は役に立ちましたか?

TSUNAGU 編集部

TSUNAGU 編集部

障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

記事 92本
2022年〜連載中
TSUNAGU