「採用してみたら思っていたのと違った」「入社3ヶ月で離職してしまった」——障害者採用での失敗の多くは、採用前の「すれ違い」から生じています。就労移行支援事業所との連携と実習受け入れは、このすれ違いを防ぐ最も効果的な手段です。連携の始め方から実習設計・採用判断まで、一連の流れを実践的に解説します。

就労移行支援事業所は「よく知った人材を紹介してくれる」パートナー

就労移行支援事業所は、障害者が一般就労に向けてスキルアップと生活リズムを整えるための福祉サービスです。利用者は通所しながら職業訓練・コミュニケーション練習・体調管理を行い、就職に向けた準備を重ねています。支援員は利用者と長期間(多くは半年〜2年)向き合っており、「この人はどんな特性があるか」「どんな業務に向いているか」「職場ではどんな配慮が必要か」をよく把握しています。

企業側にとってこれが意味するのは、「紹介を受ける時点で、すでに詳細なプロフィールが手に入る」ということです。一般の求人媒体を通じた採用では、面接だけで候補者の特性を把握しなければなりませんが、就労移行支援事業所経由では、支援員が通訳者・橋渡し役として機能してくれます。採用後も連携を継続することで、入社後の困りごとを早期に察知するセーフティネットにもなります。

連携開始から採用決定までの5ステップ

まず最初のステップは、連携先の事業所リストを取得することです。地域のハローワーク、または障害者就業・生活支援センターに問い合わせると、近隣の就労移行支援事業所のリストを入手できます。「IT/DX系の職業訓練をしている事業所」と条件を絞ると、TSUNAGU Academyの研修修了者を抱える事業所を見つけやすくなります。

次に事業所訪問です。電話やメールで担当支援員にアポを取り、自社の業務内容・職場環境・受け入れ可能な業務を丁寧に伝えます。この段階で「うちに合う候補者がいるかどうか」を確認できます。訪問時には求人票だけでなく「業務設計書(何を担当してもらうか)」を見せると、支援員が候補者を絞りやすくなります。

  • 1STEP1:ハローワーク・地域障害者就業・生活支援センターで事業所リストを取得
  • 2STEP2:事業所を訪問し、自社の業務内容・職場環境を丁寧に共有
  • 3STEP3:実習受け入れの期間・担当業務・評価基準を支援員と合意・文書化
  • 4STEP4:実習(2〜4週間)を実施し、支援員と定期的に情報共有
  • 5STEP5:実習終了後に本人・支援員・企業担当者の3者面談を実施して採用判断

実習設計で絶対に外せない4つのポイント

実習を最大限に活用するためには、設計が重要です。最も大切なのは「実習中の業務を採用後と同じ業務にそろえる」ことです。「実習中はコピー・清掃だったが、採用後は別の業務」という設計は、双方向のミスマッチを生みます。実際の業務を体験することで、本人は「自分にできるか」を確認でき、企業側は「実際のパフォーマンス」を見ることができます。

実習前に評価シートを作成し、支援員と共有することも欠かせません。「コミュニケーション」「業務遂行」「時間管理」「問題発生時の対応」などの評価軸を事前に決めておくことで、主観的な印象ではなく客観的なデータで採用判断ができます。実習中の困りごとは、本人が直接言えないことも多いため、支援員経由で把握する仕組みにしておくことも大切です。

  • 実習中に担当する業務を採用後と同じ業務に揃える
  • 実習評価シートを事前に作成して支援員と共有する
  • 実習中の困りごとは「支援員経由で把握する」ルールにする
  • 実習終了後は本人・支援員・企業の3者面談を必ず実施する

就労移行支援事業所との連携は、「採用コストの削減」と「ミスマッチリスクの軽減」を同時に実現できる最も実践的な方法です。TSUNAGU Academyでは、採用前の業務設計から就労移行支援事業所との連携コーディネートまで、採用プロセス全体をサポートしています。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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2022年〜連載中
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