法定雇用率を達成できていない企業には、障害者雇用納付金の支払い義務が生じます。「罰金」のように捉えられがちなこの制度ですが、正しく仕組みを理解すれば、活用できる調整金・助成金も存在します。制度の全体像を把握したうえで、達成に向けた現実的な道筋を考えましょう。

障害者雇用納付金制度とは何か

障害者雇用納付金制度は、「雇用できている企業」と「雇用できていない企業」の間の経済的負担を調整するために設けられた制度です。障害者を多く雇用している企業は、雇用環境の整備やサポート体制に相応のコストをかけています。一方、雇用できていない企業はそのコストを負担していません。この不均衡を是正し、障害者雇用をより公平に推進するための仕組みが納付金制度です。

対象となるのは常用雇用労働者数が100人を超える事業主です。100人以下の企業には納付金の義務はありませんが、努力義務として雇用促進が求められます。

企業規模納付金額(1人不足あたり月額)対象
100人超5万円/月義務対象
100人以下納付金なし努力義務

実際にいくらかかるのか——計算の仕方

納付金の計算は、「法定雇用率に基づく必要雇用数」と「実際の雇用数」の差(不足数)に、月額5万円をかけた金額が1ヶ月分の納付金となります。これが年間12ヶ月分発生します。

計算例:従業員500名の企業で法定雇用率2.7%の場合、必要雇用数は約14名。実際の雇用数が10名の場合、不足数は4名。年間納付金は「4名 × 月5万円 × 12ヶ月 = 240万円」となります。

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この数字を見ると、「採用して定着させる仕組みを整えるコスト」と比べてどちらが合理的か、見えてくるのではないでしょうか。TSUNAGU Academyへの研修費用と受け入れ体制整備にかかるコストが年間100〜150万円程度であることを考えると、納付金を払い続けるよりも、体制を整えて雇用を進めるほうが中長期的には明らかに有利です。

知っておくべき「もらえる側」の制度——調整金と助成金

納付金は「払う制度」ですが、法定雇用率を超えて障害者を雇用している企業には「調整金」が支給されます。100人超の企業では、法定雇用率を超えた1人あたり月2.7万円が調整金として受け取れます。100人以下の企業でも、一定数以上雇用した場合は「報奨金」として月2.1万円が支給されます。

さらに、採用段階では「特定求職者雇用開発助成金」として採用後6ヶ月〜2年にわたり賃金の一部が助成され、研修段階では「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」として訓練費の最大3/4が補助されます。納付金を払い続けるのではなく、こうした助成金を活用しながら採用・育成に投資するアプローチが、制度を賢く使う方法です。

達成に向けた現実的な5つのステップ

「わかっているけど、なかなか進まない」——そう感じている人事担当者に向けて、現実的に動ける5つのステップを整理します。まず行うべきは、現状の雇用率と不足数の正確な把握です。次に、自社内で受け入れ可能な業務領域を洗い出します。業務の棚卸しをしてみると、「これは障害のある方でも対応できる」という業務が意外と多く見つかることに気づくはずです。

業務の目処がついたら、就労移行支援事業所との連携を開始します。事業所のスタッフは、候補者の特性や就労状況を熟知しており、企業側の業務内容と照らし合わせて適切な人材を紹介してくれる心強いパートナーです。採用の前に実習受け入れを行うことで、双方向のミスマッチリスクを大幅に減らすことができます。そして最後に、定着支援の仕組みを先に構築してから採用活動に入ることが、長期定着への最短ルートです。

TSUNAGU Academyでは、IT/DX業務に特化した研修プログラムと企業の受け入れ体制構築を一体的にサポートします。納付金を払い続けるのではなく、助成金を活用しながら戦略的に雇用率を改善していきましょう。

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TSUNAGU 編集部

TSUNAGU 編集部

障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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