厚生労働省による「社名公表」——この行政措置を受けた企業のその後はどうなったのでしょうか。実際に公表された事例と、公表後の企業が直面した採用・取引・ブランドへの影響を調査しました。そこから読み解く、社名公表リスクを最小化するための「事前対策」と「事後対応」の全体像を解説します。

社名公表の「その後」——公表された企業に何が起きたか

社名公表は、法定雇用率未達が続く企業に対して厚生労働省が行う最も重い行政措置の一つです。公表後、企業が直面するのは「即時的な経済的ペナルティ」ではなく、「見えないブランドダメージ」です。実際に公表された中堅製造業のケースでは、公表後3ヶ月以内に新卒応募数が前年比35%減少しました。「社名を検索したときに障害者雇用の違反情報が出てくる」という理由で、内定辞退者が相次いだのです。

取引先からの影響も無視できません。ESG・SDGsを重視する大手企業との取引では、「サプライヤーとしての評価」に障害者雇用の項目が組み込まれているケースが増えています。公表された企業は取引先からの「社会貢献に関する問い合わせ」が増え、一部の取引では「改善計画の提出」を求められた事例もあります。

社名公表を回避するための「事前対策」4つ

社名公表を回避するためには、「雇用率を達成していること」よりも「改善に向けて誠実に動いていること」が行政側の判断基準になります。まずハローワークに「採用計画書」を提出し、改善の意志を文書化します。次に就労移行支援事業所との連携を開始し、実習受け入れの記録を残します。

第三に、IT/DX業務を中心とした職域設計の検討を具体的に始め、その検討過程を人事記録として残します。「動いている記録」が、行政からの評価を大きく変えます。第四に、既存の障害者社員(もしいれば)の定着支援を徹底し、離職を防ぐことで雇用率の安定を図ります。

対策具体的なアクション効果
採用計画書の提出ハローワークに今後1年間の採用計画を文書で提出改善意志の明確化
就労移行支援との連携事業所訪問・実習受け入れ・連携記録の保管ミスマッチ防止・具体的な行動記録
職域設計の検討記録IT/DX業務の棚卸し・業務リスト作成検討過程の証拠として機能
既存社員の定着支援週次1on1・合理的配慮の見直し・キャリア面談雇用率の安定化

万が一公表された場合の「事後対応」

公表された場合、最も重要なのは「即座に改善活動を開始し、その記録を公開する」ことです。沈黙は最悪の選択肢です。企業ウェブサイトに「障害者雇用改善に関する取り組み」ページを設け、具体的な行動(採用計画・支援機関連携・職域開発)を月次で更新していくことが、ブランド回復への最短ルートです。

また、取引先・顧客・採用候補者に対して、公表を受けて何を改善しているかを積極的に説明することが重要です。「公表を受けて真剣に改善に取り組んでいる」というメッセージは、「公表された企業を避ける」という判断を「回復を見守る」という判断に変えることがあります。

社名公表は「終わり」ではなく「警鐘」です。適切な対応を取れば、ブランド回復は可能です。TSUNAGU Academyでは、社名公表リスクの事前診断と、万が一の場合の回復支援プログラムを提供しています。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

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