ASD(自閉スペクトラム症)のある社員が、Power Platform総合研修を受講して社内DX推進の中核を担うまでになった——そのストーリーを、本人の言葉を中心にお届けします。「障害が邪魔をする」と思っていた特性が、IT業務においては最大の強みに変わった経緯を語っていただきました。

研修を受けようと思ったきっかけ

現在31歳の山田さん(仮名)は、ASDの診断を受けてから「自分は人と関わる仕事は向いていない」と長い間思い込んでいたと言います。前職では接客業に就きましたが、「場の空気を読む」ことへの疲弊が重なり、1年で離職。しばらく休職の後、就労移行支援事業所でTSUNAGU Academyの研修プログラムを紹介されました。

「正直、「自分にITなんてできるのか」と半信半疑でした。でも、担当者に「ASDの特性はIT業務に向いている可能性がある」と言われて、それが気になって受けてみることにしました」

ASDの「こだわり」がエラーを防いだ

Power Automateのフロー構築を始めた最初の1ヶ月、山田さんは他の受講者とは違う行動をしていました。「フローが一応動いた」という段階で次に進まず、「この条件が漏れていないか」「例外ケースが発生したらどうなるか」を徹底的に確認し続けていたのです。

「他の人が"だいたいこれで動く"と思うところも、自分は止まってしまう。最初は「これがASDの困った部分なのかな」と感じていました。でも、研修担当の方に「それがエラーを防いでいる。品質管理の視点として非常に価値が高い」と言ってもらえた瞬間、自分の特性の見方が変わりました」

研修後半のグループ課題では、山田さんが作ったフローだけが本番環境でもエラーゼロだったという出来事がありました。「細部へのこだわり」という、これまで「邪魔だ」と感じていた特性が、IT業務においては突出した強みであることを、数字で証明できた瞬間でした。

研修中の困難と、それを乗り越えた方法

グループワークやディスカッションには苦労しました。「今何の話をしているのか」「自分がいつ発言すればいいのか」がわからず、グループ作業の時間は消耗することが多かったと言います。しかし、TSUNAGU Academyでは研修のゴールと手順が最初から文書で提示されており、「何のためにやっているか」が常に明確でした。

「チャットやメールでの質問対応が充実していたのも大きかった。対面で質問するのは緊張するけど、テキストなら自分のペースで考えて送れる。「わからないことを聞きやすい環境」が、研修を最後まで続けられた一番の理由だと思います」

現在の仕事——DX推進の中核へ

研修修了後、現在の会社に採用された山田さんは、入社半年でPower Automateによる5つの業務自動化フローを構築しました。「毎週40時間かかっていた集計作業が2時間になった」「承認フローのデジタル化で印鑑廃止ができた」——その成果は数字として会社に見える形で残っています。

現在は後輩の障害者社員へのPower Automate研修も担当しています。「自分と同じように「できないかも」と思っている人に、「IT業務は特性を活かせる世界がある」ということを伝えたい。それが今一番やりがいを感じる仕事です」という言葉が印象的でした。

「ASDである自分が、会社のDX推進を担っている。これは1年前の自分には想像もできなかった」——山田さんのこの言葉が、障害者雇用の可能性を最もシンプルに表しています。TSUNAGU Academyでは、こうした特性を強みに変える研修・定着支援を一体的に提供しています。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

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