2024年4月の障害者雇用促進法改正は、人事担当者にとって「知っているかどうかで雇用率の計算結果が大きく変わる」内容を含んでいます。精神障害者のカウント方法の恒久化、新設された短時間重度障害者の算定特例、除外率の一律引き下げ——これらが自社の雇用率にどう影響するかを正確に把握していますか?

最も実務に影響する改正:精神障害者の短時間カウント特例の恒久化

2024年4月の改正で最も重要なのは、精神障害者の短時間勤務(週20〜30時間)を1.0カウントとする特例が「恒久化」されたことです。これは2018年から暫定措置として実施されていたものが、この改正で正式に恒久的なルールとして定着しました。

「それって前からそうじゃなかったの?」と思う方もいるかもしれませんが、暫定措置である以上、いつ廃止されるかわからないという不確実性がありました。恒久化されたことで、企業は「精神障害者の週20〜30時間勤務を1.0カウントとして長期的に雇用設計に組み込める」という確信を持てるようになりました。

これは精神障害者の在宅雇用を進める企業にとって非常に大きなメリットです。体調の波がある精神障害者は、最初から週40時間のフルタイム勤務ではなく、週20〜30時間の短時間勤務からスタートし、安定したら徐々に時間を増やしていくアプローチが定着率を高めます。この働き方が雇用率カウントとして正式に認められたことで、企業・社員双方にとってメリットが生まれています。

2024年4月改正の全体像

改正項目改正前改正後(2024年4月〜)実務への影響
精神障害者の短時間カウント週20〜30時間:0.5カウント(暫定)週20〜30時間:1.0カウント(恒久化)雇用設計に組み込みやすくなった
除外率業種別の除外率(従来値)一律10%引き下げ実質的に必要雇用数が増える業種が出る
週10〜20時間の重度障害者算定対象外0.5カウントとして算定可能(新設)重度障害者の短時間雇用の道が開けた
法定雇用率2.3%2.5%(2024年4月〜)追加採用が必要な企業が増加

「除外率の一律引き下げ」が意外なところで効いてくる

除外率制度は、業種によって障害者就業が困難とされる業務割合を控除する仕組みです。たとえば建設業では改正前45%の除外率が適用されており、実質的に必要雇用数が低く計算されていました。今回の改正でこれが一律10%引き下げられ、建設業では35%になりました。

この変更の影響は、除外率が高かった業種ほど大きくなります。「除外率があるから雇用率は達成している」と思っていた企業が、再計算したら未達になっていた、というケースも起きています。今すぐ自社の除外率を確認し、改正後の実際の必要雇用数を再計算することをおすすめします。

今すぐやるべき実務対応4つ

改正の内容を踏まえて、人事担当者が今すぐ行うべき対応は4点です。まず、既存の精神障害者社員の勤務時間を確認し、週20〜30時間の方を1.0カウントで再計算してみてください。もしかしたら雇用率が改善する可能性があります。次に、除外率の変更を踏まえた自社の実際の必要雇用数を再計算します。

  • 既存の精神障害者社員の勤務時間を確認し、1.0カウントで雇用率を再計算する
  • 除外率の変更(一律10%引き下げ)を踏まえて必要雇用数を再計算する
  • 週10〜20時間での重度障害者雇用の可能性を検討する
  • 短時間勤務制度の整備・拡充を検討し、精神障害者採用の選択肢を広げる

2024年の改正を正確に理解して自社の雇用率計算に反映することで、「実は達成に近かった」「この特例を使えばもっと効率的に達成できる」という気づきが生まれることがあります。TSUNAGU Academyでは、改正法の実務対応と雇用率計算の正確性確認を専門スタッフがサポートします。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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