「2026年にまた法定雇用率が上がると聞いたけど、今から何をすればいいのか」——人事担当者からこの質問をよく受けます。障害者雇用促進法は、1987年の大改正以来、ほぼ5〜6年おきに大きな改正を繰り返してきました。過去の改正の流れを知ることは、次の改正を「予測して備える」ための最も確実な方法です。37年間の法改正の歴史を年表で整理し、今後のキーワードを読み解きます。

改正の歴史が語る「一貫した方向性」

障害者雇用促進法の改正を37年間の流れで見ると、一貫した方向性が浮かび上がります。「義務の対象を広げる」「雇用率の水準を上げる」「差別禁止・配慮提供のルールを強化する」——この3つの軸が、改正のたびに深化してきました。

特に象徴的なのが「精神障害者」の扱いの変化です。2013年以前、精神障害者は雇用義務の対象外でした。それが2018年に雇用義務対象に追加され、2021年には短時間雇用の特例カウントが導入されました。この流れは「より多様な障害を、より現実的な条件で雇用する」という制度の成熟を示しています。

主要改正年表:1987年〜2026年(予定)

主な改正内容実務への最大の影響
1987年法定雇用率制度の整備・特定子会社制度の創設・納付金制度の強化企業の雇用義務が法的に明確化された
2013年精神障害者を雇用義務対象に追加(2018年から義務化)・差別禁止・合理的配慮(努力義務)精神障害者採用が制度的に後押しされた
2018年法定雇用率2.0%→2.2%・精神障害者雇用義務化スタート対象企業が拡大・精神障害者採用が本格化
2021年精神障害者の特例カウント導入(週20〜30時間で1.0カウント・暫定)短時間雇用での雇用率カウント最適化が広がる
2024年法定雇用率2.3%→2.5%・合理的配慮が民間企業に義務化配慮の「提供しない」という選択肢がなくなった
2026年(予定)法定雇用率2.5%→2.7%追加採用が必要な企業が急増・早期の準備が必要

2026年改正に備える:今からやるべきこと

2026年7月に法定雇用率が2.5%→2.7%に引き上げられる予定です。従業員数100人の企業なら、現在の義務雇用人数2.5人から2.7人へ——約0.2人分の追加が必要になります。しかし「今のペースで採用できる」と思っていた企業が、採用活動を始めて初めて「良い候補者がなかなか見つからない」という現実に直面するケースが多い。計画的な採用のためには、2025年中に採用活動を開始する必要があります。

また精神障害者の特例カウント(週20〜30時間勤務で1.0カウント)は「2026年度末まで」の暫定措置です。2027年以降この特例が継続されるかどうかは現時点で確定していないため、特例カウントに依存した雇用率設計をしている場合は、2026年度末以降のシミュレーションを今から始めておく必要があります。

制度の未来を読む3つのキーワード

「分離から統合へ」:特例子会社中心の分離型雇用から、本体採用・本体配属のインクルーシブ雇用へのシフトが制度・ESG評価の両面から加速しています。「量から質へ」:雇用率の達成だけでなく、定着率・キャリアパス・本人の活躍状況が評価される時代へ移行しています。「DXとの融合」:IT業務×障害者雇用のモデルが標準化し、ローコード・AIスキルを持つ障害者社員がDX推進の担い手になる流れが本格化しています。

  • 1「分離から統合へ」:特例子会社中心からインクルーシブ雇用へのシフトが加速
  • 2「量から質へ」:雇用数より定着率・キャリアパス・活躍状況が評価される時代へ
  • 3「DXとの融合」:IT×障害者雇用モデルが標準化し、AIスキル人材の需要が増大

法改正は「対応するもの」ではなく「先読みして備えるもの」です。TSUNAGU Academyは、この制度変遷の流れを先読みした研修・採用支援を提供しています。2026年の改正に向けた長期的な雇用戦略を、今から一緒に設計しましょう。

この記事は役に立ちましたか?

TSUNAGU 編集部

TSUNAGU 編集部

障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

記事 92本
2022年〜連載中
TSUNAGU