「障害者専門の求人サイトに掲載したのに応募が来ない」——この悩みを持つ人事担当者は多いです。掲載すれば来る、という時代はとっくに終わっています。障害者求職者は今、「この会社は自分が本当に働けるかどうか」を複数のチャネルで徹底的に調べてから応募します。就労移行支援事業所スタッフへの口コミ確認、採用ページの読み込み、SNSでの社風チェック——企業側が何も発信していなければ「情報がない=選ばない」になります。採用ブランディングは「応募を待つ」から「選ばれる企業になる」への転換です。

障害者求職者がどこで企業を「審査」しているか

最も影響力が大きいのが就労移行支援事業所スタッフからの口コミ・紹介です。求職者が最も信頼するのは「同じ立場を経験した人の声」と「自分を支援してくれているスタッフの意見」です。「あの会社は支援所スタッフが実際に見学して、ちゃんとした職場だとわかっている」という評判が、応募の最大の動機になります。逆に「あの会社はスタッフに評判が悪い」という口コミが広がると、求人掲載しても応募が止まります。

採用ページのコンテンツも厳しくチェックされています。「障害者雇用」という言葉だけが書かれていて、実際に働いている社員の話がない採用ページは信頼されません。「今どんな人が働いていて、何をしていて、どう感じているか」という具体性が、求職者の「ここで働けそう」という判断を支えます。

「選ばれる企業」になるための4つのブランディング施策

最も費用対効果が高いのが社員インタビュー記事の公開です。実際に働いている障害者社員に「仕事内容・職場の雰囲気・合理的配慮の実態・入社前の不安と今の状況」を語ってもらった記事は、どんなキャッチコピーより信頼されます。実名・顔出しは本人の同意が必要ですが、「ASDを持つ30代・マーケティング部門担当」という形の匿名でも十分です。「この会社で働いている人の声がある」という事実が重要です。

採用ページへの「障害者雇用特設コーナー」の設置は、「うちは本気で取り組んでいる」というシグナルになります。法定雇用率の達成だけを書くのではなく、「具体的な業務内容・合理的配慮の実例・入社後のサポート体制・職場環境写真」を掲載することで、「自分が働くイメージ」が持てるコンテンツになります。「在宅勤務OK・フレックス可」という条件は、求職者が最も重視する条件のひとつです。採用要件ページに明記するだけで、応募率が大きく変わります。

  • 1①社員インタビュー記事の公開(実名不要・「匿名の具体的な声」が信頼される)
  • 2②採用ページに障害者雇用特設コーナーを設け「業務・配慮・サポート体制・写真」を掲載する
  • 3③「在宅勤務OK・フレックス可・短時間勤務から可能」を採用要件に明記する
  • 4④就労移行支援事業所スタッフ向けの職場見学会を年1〜2回開催して口コミを作る

就労移行支援事業所との関係構築:最も効果的な採用チャネル

就労移行支援事業所のスタッフと良好な関係を築いている企業は、「求人を出さなくても声がかかる」状態になります。年1回の職場見学会の開催・採用後の定期的な連絡報告・スタッフへの感謝の伝達——これらのコストほぼゼロの取り組みが、「この会社は信頼できる」という評判を支援ネットワーク全体に広めます。「採用活動」というより「関係構築」という意識が、長期的な採用力の源泉になります。

「選ばれる企業」は一日でできません。社員インタビューを1本書き、職場見学会を1回開き、採用ページを1ページ更新する——この小さな積み重ねが、1年後に「応募が止まらない企業」を作ります。TSUNAGU Academyでは、採用ブランディングのコンテンツ制作支援と、就労移行支援所ネットワークの紹介もお手伝いしています。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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