障害者社員の離職は、入社後180日以内に集中しています。特に30〜90日目——「仕事には少し慣れてきたけど、このまま続けていいのか不安になる時期」に、最も多くの離職が発生します。この時期に何もしないことが、最大のリスクです。入社30日・90日・180日の各フェーズで「何をすべきか」を具体化した180日オンボーディングプログラムの設計方法を解説します。

入社30日目までに:「安心の土台」を作る

最初の30日間でやるべき最重要事項は「安心の土台」の整備です。合理的配慮の内容を書面で合意し、週次1on1の日時を固定し、業務マニュアルを渡して「困ったとき自分で参照できる」環境を整える。これらは入社前に準備しておくことが理想ですが、遅くとも入社後2週間以内には完了させます。

30日目に最初の1on1レビューを行い、「不安なく出勤できているか」「困っていることはないか」「業務マニュアルはわかりやすいか」を確認します。ここで出た改善点は、速やかに対応することが「言えば変わる」という信頼関係の構築につながります。「言っても変わらない」という体験が積み重なると、本人は困ったことを言わなくなります。

  • 合理的配慮の内容を書面で合意する(入社日または入社前)
  • 緊急時の連絡先・方法を確認し、本人に書面で渡す
  • 週次1on1の日時を入社初日に固定する
  • 業務マニュアルを渡し、「自分で参照できるか」を実際に確認する
  • 30日目に最初のレビュー面談を行い、改善点を速やかに対応する

31〜90日目:「できる」を積み重ねる習熟期

この期間は同じ業務を繰り返し担当させ、「手順が体に馴染む」体験を積む時期です。業務完遂率・ミスの傾向・処理速度を記録し、週次1on1で本人と一緒に振り返ります。「先週より速くなった」「今週はミスがゼロだった」という小さな成長を言語化して伝えることが、90日間の最大の仕事です。

90日目のレビューでは「次の3ヶ月でどんな業務に挑戦したいか」を本人に聞きます。ここで「自分で考えた目標」を持てるかどうかが、定着期への移行のサインです。管理職が一方的に目標を与えるのではなく、本人の意向を引き出すことが長期定着の鍵になります。

91〜180日目:「自走化」への移行期

定着期と呼ばれるこの3ヶ月間は、「一人でできる範囲を広げる」フェーズです。自己解決率(上司に聞かなくても自分で解決できる割合)を意識的に高め、「困ったらまず自分で考える、どうしても解決できなければ相談する」という習慣を育てます。週次1on1を隔週に減らすことも、本人の自走化を促す一つのサインです(ただし本人と合意の上で)。

フェーズ期間主な取り組み確認指標1on1頻度
安心の土台期〜30日配慮合意・マニュアル整備・関係構築不安なく出勤できているか週次
習熟期31〜90日業務の反復・小さな成長の言語化業務完遂率・ミスの傾向週次
自走化期91〜180日業務拡大・自己解決力の育成自己解決率・次の目標を持てているか隔週も可
安定期181日〜通常管理体制へ移行定着率・スキル習得状況月次

180日のオンボーディングに「やりすぎ」はありません。この投資が、採用コストを何倍にも回収する定着率を生みます。TSUNAGU Academyでは、180日のオンボーディング設計テンプレートを企業に提供し、フェーズごとの実践支援を行っています。「入社後こそが本番」という意識で一緒に取り組みましょう。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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