「雇用率が法定を下回っているのに、実はカウント漏れで損をしていた」——この話を聞いたとき、信じられないと感じるかもしれません。でも実際に、精神障害者の特例カウントや重度障害者のダブルカウントを見落として、実際より低い雇用率で報告している企業は珍しくありません。みなし規定・特例カウント・除外率制度を正確に理解することで、自社の雇用率が想像以上に改善するケースがあります。「知っているか知らないか」だけの差です。
まず整理:雇用率の計算に影響する3つの制度
雇用率の算定をより正確に、かつ自社に有利に行うために知っておくべき制度が3つあります。①特例カウント(精神障害者の短時間雇用)、②ダブルカウント(重度障害者)、③除外率制度です。これらはどれも「正しく適用すれば実際の雇用率が上がる」ものですが、誤解や見落としによって正しく反映されていないケースが多く見られます。
特例カウント:精神障害者の短時間雇用が1.0になる
通常、週20〜30時間の短時間勤務者は0.5カウントとして計算されます。しかし精神障害者が週20〜30時間の短時間勤務をしている場合、特例として1.0カウントが認められています(2026年度末までの暫定措置)。つまり、週30時間に満たない精神障害者社員が1名いる場合、通常の0.5ではなく1.0でカウントできます。この差は、雇用率にして約0.1〜0.2ポイント変わることがあります。
「みなし規定」とは、障害者手帳を持たないものの重度障害者に相当する状態にある方を、一定条件下で障害者としてカウントできる規定です。この適用条件は限定的ですが、該当する可能性がある場合はハローワークに確認することをお勧めします。
ダブルカウント:重度障害者は1名で2.0カウント
身体障害者手帳1〜2級・療育手帳A判定・精神障害者保健福祉手帳1級の方は、「重度障害者」として1名で2.0カウントになります。週30時間以上勤務していることが条件です(週20〜30時間の場合は1.0カウント)。重度障害者が2名在籍していれば、それだけで4.0カウントになります。この規定を知らずに全員1.0でカウントしていると、大幅な計算漏れになります。
除外率制度:業種によって基準労働者数が変わる
除外率制度は、障害者を雇用することが困難な業種について、雇用率の算定基準となる「常用雇用労働者数」から一定割合を除外できる制度です。ただし、2024年度以降の改正で除外率が段階的に引き下げられており、従来より「除外できる人数」が減っています。自社の業種が除外率の対象かどうか、最新の除外率を確認することが重要です。
| 業種例 | 改正前除外率 | 改正後除外率 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|
| 建設業 | 45% | 35% | 算定基準労働者数が増加→雇用義務人数が増える |
| 製造業(一部) | 30% | 20% | 同上 |
| 電気・ガス事業 | 25% | 15% | 同上 |
| 港湾運送業 | 60% | 50% | 引き下げ幅が大きく要注意 |
「正しく計算すれば実は法定雇用率を達成していた」「特例カウントを使えば納付金を大幅に減らせる」——こうした発見は、知識があれば防げます。TSUNAGU Academyでは、自社の雇用率計算の正確性チェックと最適化をご支援しています。「知らずに損をしている」状況を一緒に解消しましょう。
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TSUNAGU 編集部
障害者雇用専門障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。