毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する際、「計算方法が合っているか自信がない」という人事担当者は少なくありません。計算ミスは「実は達成していたのに未達と報告してしまう」または「実は未達なのに達成と誤解してしまう」という両方向のリスクを生みます。2024年改正の内容を踏まえた、完全な計算手順を解説します。

※ 本記事は2025年3月時点の情報に基づいています。計算方法の詳細は厚生労働省・ハローワークの最新資料でご確認ください。

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基本の計算式——まずここを押さえる

障害者雇用率の計算式はシンプルです。「雇用障害者数(分子)÷ 常用雇用労働者数・除外率適用後(分母)× 100」。難しいのは分子と分母の両方に「特例・調整ルール」が複数あり、それを正確に適用しなければならない点です。分子(雇用障害者数)の計算と分母(常用雇用労働者数)の計算を、それぞれ順番に確認しましょう。

分母の計算:常用雇用労働者数の正確な算出

常用雇用労働者数は、週の所定労働時間に応じてカウント方法が異なります。週30時間以上の通常労働者は1.0カウントです。週20〜30時間の短時間労働者(パートタイム等)は0.5カウントです。2024年改正で新設された「週10〜20時間の重度障害者等」は分母にも0.5カウントとして含まれます。

派遣労働者は原則として「派遣元企業」でカウントされます。派遣先企業の常用雇用労働者数には含まれません。この点は特に人材派遣を多く使っている企業で見落とされやすいポイントです。

労働者の種類週所定労働時間カウント数
通常労働者30時間以上1.0カウント
短時間労働者20〜30時間0.5カウント
特定短時間労働者(重度障害者等)10〜20時間0.5カウント(2024年新設)
派遣労働者(問わず)派遣元でカウント(派遣先では含めない)

除外率の適用——業種によって分母が変わる

除外率は、業種によって障害者就業が構造的に困難とされる業務割合を常用雇用労働者数から控除する制度です。「常用雇用労働者数(除外率適用後)= 常用雇用労働者数 × (1 − 除外率)」という計算をします。2024年改正で全業種の除外率が一律10%引き下げられたため、以前の除外率を使い続けていると計算が間違います。

計算例:従業員300名(全員週30時間以上)・建設業(除外率35%)の場合→ 分母 = 300 × (1 − 0.35)= 195名。法定雇用率2.5%では必要雇用数 = 195 × 0.025 ≒ 4.9 → 切り捨てで4名。

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分子の計算:雇用障害者数の正確なカウント

分子(雇用障害者数)は障害の種類・程度・勤務時間によってカウント数が変わります。最も有利な特例が「重度身体障害者・重度知的障害者(週30時間以上)は2.0カウント」です。1人で2名分にカウントされるため、重度障害者の積極的な採用が雇用率改善に直結します。

2024年の改正で恒久化された「精神障害者の週20〜30時間勤務=1.0カウント」も、改めて確認が必要です。以前の計算方法(0.5カウント)のまま申告している企業では、実際の雇用率が申告より高い可能性があります。

障害者の種類週所定労働時間カウント数
身体・知的障害者30時間以上1.0カウント
重度身体・重度知的障害者30時間以上2.0カウント
身体・知的障害者20〜30時間0.5カウント
重度身体・重度知的障害者20〜30時間1.0カウント
精神障害者30時間以上1.0カウント
精神障害者20〜30時間1.0カウント(特例・恒久化)
精神・身体・知的障害者10〜20時間0.5カウント(重度障害者等のみ・2024年新設)

計算ミスチェックリスト——よくある間違いを防ぐ

最後に、実務で頻繁に起きる計算ミスのチェックポイントを整理します。これらを順番に確認するだけで、計算の正確性が大幅に高まります。

  • 精神障害者の週20〜30時間勤務を0.5ではなく1.0カウントにしているか
  • 重度身体・重度知的障害者(週30時間以上)を2.0カウントにしているか
  • 自社業種の除外率を2024年改正後の数値(旧除外率−10%)に更新しているか
  • 派遣労働者を自社の常用雇用労働者数に含めていないか
  • 週10〜20時間の重度障害者等を0.5カウントとして分子・分母に含めているか(2024年新設)

正確な雇用率の把握は、採用計画策定の出発点です。「何人不足しているか」が正確にわかれば、いつまでに何をすべきかの計画が立てられます。TSUNAGU Academyでは自社の雇用率計算の正確性チェックと改善アクションの設計を専門担当者がサポートしています。

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TSUNAGU 編集部

TSUNAGU 編集部

障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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2022年〜連載中
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