「障害者雇用は社会貢献の一環」——この認識が、今急速に変わっています。障害者雇用への積極的な取り組みが、ESG投資家・格付け機関からの評価スコアに直結し、株価・資金調達・入札資格にまで影響する時代になっています。「やれば良いこと」から「やらないと評価が下がること」へのシフトが起きています。人事部門の取り組みが、企業の経営戦略・資本政策と直結する構造になってきた背景を解説します。
ESGの「S」評価で障害者雇用が問われる時代
ESG投資の「S(社会)」指標には、労働環境・人権・ダイバーシティ・インクルージョンに関する様々な指標が含まれます。MSCI・Sustainalytics・ISS ESGなどの主要格付け機関は、この「S」の評価に「障害者雇用・インクルーシブ雇用の状況」を組み込み始めています。具体的には「障害者雇用率」「法定雇用率超過の程度」「特例子会社依存率」「障害者社員の定着率・昇進率」などがスコアリング対象になっています。
特に注目されるのが「インクルーシブ雇用への転換」です。「特例子会社に集約した分離型雇用」は、ESG評価において「真の包摂とは言えない」として低評価される傾向が出てきています。一方、「本体採用でキャリアパスが設計されている」「障害者社員の昇進事例がある」という企業は、インクルーシブ雇用の先進企業としてポジティブな評価を受けます。
ESG投資家が実際に評価する5つの指標
最も基本的な指標が「法定雇用率を超えた障害者雇用率の開示」です。「2.5%の義務を果たしている」だけでは差別化になりません。「3.0%・4.0%と超過達成し、かつその数値をアニュアルレポートで開示している」企業が高評価を受けます。数値を開示することで「隠していない、自信を持って語れる取り組みをしている」というシグナルになります。
次に重要なのが「障害者社員のキャリアパスと昇進事例の開示」です。「雇用している」だけでなく「成長・昇進のパスがある」ことを示すことで、「ただ数合わせで雇っているのではない」という実態を証明します。全社員向けダイバーシティ研修の実施と受講率報告、障害者社員の定着率・満足度の測定と開示も、「取り組みの深度」を示す指標として注目されています。
- 法定雇用率を超えた障害者雇用率を測定し、アニュアルレポートで開示する
- 特例子会社依存ではなくインクルーシブ雇用への転換プロセスを開示する
- 障害者社員のキャリアパス設計と昇進事例を具体的に示す
- 全社員向けダイバーシティ・インクルージョン研修の実施率を報告する
- 障害者社員の定着率・エンゲージメント指標を測定して開示する
ESG評価を「経営戦略」として活用する視点
障害者雇用のESG評価への影響は、すでに「格付けスコアの改善」にとどまりません。ESGスコアの高い企業は、機関投資家からの投資を受けやすくなり、ESGを重視する優秀な人材からの応募が増え、ESG調達基準を設けるBtoB取引先への入札で有利になります。「障害者雇用の実績を作ること」が、採用・調達・資金調達の三方向で企業競争力を高める経営戦略になっています。
障害者雇用の実績は「ESG報告書に書けるストーリー」になります。TSUNAGU Academyでは、ESG報告書に記載できる障害者雇用の実績づくりを、採用から育成・定着率向上まで一貫してご支援します。「数字で語れる雇用戦略」を一緒に設計しましょう。
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TSUNAGU 編集部
障害者雇用専門障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。