「履歴書は平凡だったけど、実技評価をしたら驚くほど優秀だった」——スキル評価型の選考を導入した採用担当者から、この話を何度も聞きます。逆に「書類は完璧だったのに、入社後は思ったより……」というケースも起きます。障害者採用において、従来の書類選考が「候補者の本当の能力を映していない」という問題はより顕著です。実技評価・課題提出・ポートフォリオというスキルファーストな選考への転換が、採用の精度を根本から変えます。

書類選考が「能力を測れない」理由

履歴書・職務経歴書は、「自分の経験や強みを文章で伝える能力」を持つ人に有利な選考ツールです。ASD特性を持つ方の中には、実際の業務遂行能力は非常に高いにも関わらず、「自己PR文章を書く」「面接で魅力的に話す」という選考プロセスが苦手な方がいます。ディスレクシア(読み書き困難)を持つ方は、文章の読み書き自体に困難を抱えているため、書類選考が本来の能力評価になりません。

「能力はある。でも書類では伝わらない」——この状況は、企業側にも大きな損失をもたらします。最も活躍できたはずの候補者を、書類段階で見落としているかもしれないからです。スキル評価型選考は、この損失を防ぐための設計変更です。

アプローチ①:実技評価(ワークサンプル)

実技評価とは、面接の場で実際の業務に近い課題を与え、その場で取り組んでもらう評価方法です。「このExcelデータを集計して簡単な表にしてください」「このPower Automateフローにエラーがあります、原因を見つけて修正してください」といった課題です。所要時間は30〜60分が目安です。

この方法の最大のメリットは「その場で能力が見える」ことです。手順を踏む丁寧さ、問題に直面したときの対処方法、集中している様子——書類では見えないすべてのものが可視化されます。採用担当者が「この人は現場で使える」という確信を持てる、最もリアルな選考方法です。

アプローチ②:課題提出(ホームアサインメント)

「このデータを使って週次レポートを作成してください。2〜3日で提出してください」という課題を自宅で取り組んでもらう方法です。面接当日の緊張・時間制限というプレッシャーがなく、自分のペースで能力を発揮できる環境での評価になります。ASD・精神障害を持つ方の中には「面接の場では力が発揮できないが、落ち着いた環境では非常に高いパフォーマンスを出せる」方が多いため、この方法が特に有効です。

アプローチ③:ポートフォリオ提出

TSUNAGU Academy研修修了者は、研修中に作成した成果物(Power Automateフロー・Power BIダッシュボード・Power Appsアプリなど)をポートフォリオとして採用企業に提出できます。「この人が実際に作ったもの」を見ながら採用判断ができるため、採用後のミスマッチが大幅に減少します。「研修の成果物が採用の証明書になる」という仕組みです。

選考方法メリット適した場面
書類選考(従来)効率的・大量処理可能一般採用・スクリーニング段階
実技評価(ワークサンプル)当日の能力をリアルに確認できる最終選考・スキル確認段階
課題提出(ホームアサインメント)落ち着いた環境で本来の能力を発揮できる精神障害・ASD特性の候補者に特に有効
ポートフォリオ提出実際の成果物で能力を証明できる研修修了者・IT職域採用に最適

スキルファーストな採用は、「その人が実際に何ができるか」を中心に選考設計する発想の転換です。TSUNAGU Academyでは、研修修了者のポートフォリオを採用企業に提供しています。「書類では伝わらなかった人材」を、正しく評価できる採用プロセスを一緒に設計しましょう。

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TSUNAGU 編集部

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障害者雇用専門

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 社会保険労務士・障害者雇用コンサルタントが監修。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

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2022年〜連載中
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