【2026年7月10日 施行後更新】2026年7月1日、法定雇用率2.7%が施行されました。建設業は2025年の除外率30%→20%引き下げと合わせて、まさにダブルパンチの影響を受けている最中です。7月15日の報告書提出期限に向けて、新基準での雇用率再計算が急務です。特に公共事業を請け負う建設会社は、経営事項審査の「W点(社会性等)」における障害者雇用評価が、実際の入札結果に影響を与え始めています。本記事で解説したCAD・BIM人材育成の取り組みを今すぐ始めることで、次回の経審までに雇用率達成の実績を作ることができます。

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建設業は長年「除外率」によって、他業種より少ない人数の障害者雇用が認められてきました。しかし2025年に除外率が30%から20%へ引き下げられ、さらに2026年7月には法定雇用率そのものが2.7%へと引き上げられます。このダブルパンチにより、建設会社が実際に雇用しなければならない障害者数は大幅に増加します。そして見逃せないのが「公共事業入札への影響」——法令雇用率を達成していない建設会社は、入札参加資格の審査で不利な評価を受けるリスクがあります。早急な対応が求められる今、TSUNAGU AcademyでCAD・BIMを習得した障害者人材の育成という新しい解決策を解説します。

1. 除外率制度とは何か——建設業が認められてきた「特例」

障害者雇用促進法では、業種によっては障害者を雇用することが「著しく困難」であると認められる場合に、雇用しなければならない障害者数(実雇用義務数)を算定する際の基礎となる労働者数から一定割合を除外する「除外率制度」があります。建設業はこの除外率が設定されている業種の一つです。

除外率が設定されている理由は、建設業の雇用特性にあります。現場作業が中心の建設業では、労働安全衛生法上の安全確保の観点から、身体的なリスクがある業務に障害者が従事することが困難なケースが多いとされてきました。また、季節や案件によって雇用形態が変動する不安定性も、障害者の継続的な雇用を難しくする要因とされていました。

除外率の仕組みを具体的に説明します。たとえば除外率が30%の場合、常用雇用労働者が100名の建設会社では、100名×(1-0.30)= 70名が雇用率算定の基礎となる人数です。法定雇用率2.5%ならば、70名×2.5% = 1.75名、切り捨てて1名の障害者雇用で法令を満たすことができました。これが除外率制度の実態です。

従業員数除外率30%(旧)の雇用義務数除外率20%(新)の雇用義務数増加分
50名50×0.7×2.5% ≒ 0.875 → 0名50×0.8×2.7% ≒ 1.08 → 1名+1名
100名100×0.7×2.5% = 1.75 → 1名100×0.8×2.7% = 2.16 → 2名+1名
200名200×0.7×2.5% = 3.5 → 3名200×0.8×2.7% = 4.32 → 4名+1名
300名300×0.7×2.5% = 5.25 → 5名300×0.8×2.7% = 6.48 → 6名+1名
500名500×0.7×2.5% = 8.75 → 8名500×0.8×2.7% = 10.8 → 10名+2名

※ 上記は概算です。実際の算定には「常用雇用労働者数」の定義、みなし規定、短時間労働者の計算方法など複数の要素が影響します。正確な数値はハローワークにご確認ください。

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2. 除外率30%→20%引き下げ×法定雇用率2.7%引き上げ——ダブルパンチの実態

2025年4月から除外率が30%から20%に引き下げられました。さらに2026年7月には法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられます。この2つの変化が重なることで、建設業が受ける影響は単純な足し算ではなく、掛け算で効いてきます。

従業員300名の建設会社で試算してみましょう。2024年以前(除外率30%、法定雇用率2.5%)は、300×0.7×2.5%=5.25名→5名が義務でした。2026年7月以降(除外率20%、法定雇用率2.7%)は、300×0.8×2.7%=6.48名→6名が義務になります。一見「たった1名の増加」に見えますが、実際には雇用率算定の基礎となる人数が210名から240名に増え、さらに目標レートも上がっているため、達成の難易度は大幅に上昇します。

さらに重要な点は「除外率の廃止方向性」です。厚生労働省は除外率制度を「当面の暫定措置」と位置づけており、段階的に廃止・引き下げる方針を示しています。今回の30%→20%引き下げはその過程の一部であり、今後さらに引き下げが続く可能性があります。「いまは20%まで下がったけど、次は10%になるかもしれない」——そう考えると、今すぐ取り組みを始めることが中長期的なリスク管理になります。

除外率引き下げ×法定雇用率2.7%——建設業のダブルパンチを正確に把握する

除外率引き下げ×法定雇用率2.7%——建設業のダブルパンチを正確に把握する

3. 最大のリスク——公共事業入札への深刻な影響

多くの建設会社にとって、法定雇用率未達の最も深刻なリスクは「公共事業の入札に影響が出ること」です。国や地方自治体が発注する公共事業(道路工事・橋梁工事・公共施設建設など)を受注するためには、「経営事項審査(経審)」を受ける必要があります。

経営事項審査では、企業の経営規模・経営状況・技術力・社会性等を数値化した「総合評定値(P点)」が算出されます。このP点の構成要素の一つに「社会性等(W点)」があり、W点の中に「障害者の雇用状況」が含まれています。具体的には「障害者雇用促進法の規定による障害者の雇用率」の達成状況が評価され、未達の場合は加点がゼロになります。

達成している企業はW点の当該項目で最大15点が加算されます。一方、未達の企業はこの15点が加算されない——つまり、競合他社との間に「15点の差」が生まれます。公共工事の入札では、総合評定値の差が数十点になることも珍しくなく、15点の差は入札参加資格の有無や、受注機会に実際に影響します。

評価項目内容加算点雇用率未達時
障害者雇用率の達成法定雇用率を達成している最大15点0点(加算なし)
除外率適用後の達成除外率適用後の実雇用率が法定雇用率以上対象内非該当

※ 経営事項審査の点数構成・計算方法は国土交通省のガイドラインに基づきます。詳細・最新情報は国土交通省または各地方整備局にご確認ください。

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地方自治体によっては、独自の入札参加資格審査の中で「障害者雇用促進法に違反していないこと」を参加要件として設定しているケースもあります。法定雇用率未達が続き、ハローワークからの「指導・勧告」を受けた場合、あるいは社名公表に至った場合には、こうした自治体での入札参加資格審査においてさらなる不利益が生じる可能性があります。公共事業を主要な収益源とする建設会社にとって、このリスクは経営の根幹に関わります。

4. 「早急に達成しなければならない」理由——時間軸の整理

2026年7月の法定雇用率2.7%引き上げまで、残り約2ヶ月です(2026年5月現在)。しかし障害者雇用は「応募・採用・研修・配属・定着」というプロセスに時間がかかります。今から急いで採用活動を始めても、2026年7月1日の時点で雇用率を達成した状態にするには、採用から定着まで最低でも2〜3ヶ月の期間が必要です。

さらに、障害者雇用状況報告書は毎年6月1日時点の状況を7月15日までに報告する義務があります。2026年の報告書では2.7%という新しい基準が適用され、未達の場合は納付金(月額5万円/1人不足)の対象となります。また、2026年6月1日時点の状況が報告書に反映されるため、それまでに雇用率を達成した状態にしておく必要があります。

  • 12025年4月:建設業の除外率が30%→20%に引き下げ(すでに施行済み)
  • 22026年6月1日:障害者雇用状況報告書の基準日(この日時点の雇用率が問われる)
  • 32026年7月1日:法定雇用率が2.5%→2.7%に引き上げ
  • 42026年7月15日:障害者雇用状況報告書の提出期限
  • 5未達が続く場合:ハローワークによる指導・勧告→社名公表のリスク

5. 建設業での障害者雇用——「現場以外」に広がる職域

「建設現場での作業は危険だから、障害者を雇えない」——この考え方は正しいですが、障害者雇用の場は必ずしも「現場作業」である必要はありません。建設会社には現場以外にも多くの職域があります。

設計・積算・施工管理・品質管理・安全管理・測量・CAD図面作成・BIMモデリング・事務処理・経理・書類作成・IT管理——これらの業務は、現場に出ることなく、室内(事務所・在宅)で担当できます。特にCAD(Computer-Aided Design)やBIM(Building Information Modeling)は、建設業でIT・DXが急速に進んでいる領域であり、障害者社員が高い付加価値を発揮しやすい職域です。

建設業でも「現場以外」の職域が広がっている——CAD・BIMはその代表例

建設業でも「現場以外」の職域が広がっている——CAD・BIMはその代表例

CAD業務——図面入力・修正・管理

AutoCADやJw_CADを使った建築・土木図面の入力・修正・ファイル管理は、繰り返し作業に集中できる特性(ASD傾向など)を持つ方に向いている業務です。「決まった手順で正確に作業する」「細部に注意を払う」という特性が、図面品質の向上に直結します。在宅でも完結できる業務であり、オフィス作業と在宅を組み合わせた柔軟な働き方も可能です。

BIM業務——3Dモデリング・属性データ管理

RevitやArchicadなどのBIMソフトを使った3D建物モデルの作成・属性データの入力・管理は、建設業のDX化において需要が急増している業務です。国土交通省が推進する「BIM/CIM原則化」により、2023年度以降の大規模公共事業ではBIM/CIMの活用が義務化されており、建設業全体でBIM人材の確保が急務となっています。

BIMのデータ入力・属性管理・ドキュメント整理は、「明確な手順がある」「論理的に構造化された作業」であり、障害者社員が習得しやすい領域です。特にASD特性の「システム思考」「データの正確性へのこだわり」は、BIMデータの品質管理で強みになります。

バックオフィス×IT業務——建設業でも在宅DXは可能

建設業のバックオフィス業務(経理・人事・書類作成・工事台帳管理・請求書処理)も、Power AutomateやExcelを活用した自動化・効率化の余地が大きい領域です。工事台帳のデータ入力を自動化するPower Automateフロー、施工管理書類をSharePointで一元管理する仕組み——これらを担当する障害者社員は、建設会社のDX推進に直接貢献します。

6. TSUNAGU AcademyでCAD・BIM人材を育成——建設業の新しい解決策

TSUNAGU Academyは、障害を持つ方のITスキル習得と就労定着を一体的に支援する育成型障害者雇用サービスです。Power Platform(Power Automate・Power BI・SharePoint)を中心とした研修が主力ですが、建設業向けには「CAD・BIM人材育成」のご相談にも対応しています。

「CAD・BIMを学びたいが、独学では続けられない」「在宅で習得できる環境がほしい」という障害者求職者と、「CAD・BIM業務を担当できる障害者を採用したい」という建設会社をつなぐコーディネートを行っています。研修プログラムの内容・期間・費用については、貴社の業務内容と対象者の特性に合わせて個別にご提案します。

職域主なスキル在宅可否障害特性との相性
CAD図面作成・修正AutoCAD / Jw_CAD○(在宅可)ASD(細部注意力・正確性)
BIM 3DモデリングRevit / Archicad○(在宅可)ASD(論理・システム思考)
BIM属性データ管理Revit / BIMデータ整理○(在宅可)精神障害(繰り返し・集中)
バックオフィスDXExcel / Power Automate / SharePoint○(在宅可)ADHD(自動化・効率化)
工事書類管理SharePoint / Teams○(在宅可)身体障害(PC操作全般)

TSUNAGU Academyの研修の特徴は「在宅で自分のペースで進められること」です。建設現場への通勤が難しい障害者でも、在宅でCADやBIMのスキルを習得し、建設会社のオフィス業務・バックオフィス業務を担当することができます。週20時間の短時間勤務からスタートし、体調とスキルの習熟に合わせて徐々に業務時間を増やすステップアップモデルにも対応しています。

TSUNAGU AcademyでCAD・BIMを習得し、建設会社のDX推進を在宅で担う

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7. 建設業が今すぐ取るべき3つのアクション

2026年7月の法定雇用率2.7%引き上げまで時間は残り少なくなっています。公共事業を受注している建設会社にとって、法令雇用率の未達は入札競争力の低下に直結します。今すぐ取れる3つのアクションを整理します。

  • 1アクション1:現在の実雇用率を計算し、2026年7月基準(除外率20%・法定雇用率2.7%)での達成状況を確認する。ハローワーク担当者と連携し、正確な算定を行う。
  • 2アクション2:「現場以外」の職域リストアップを行い、CAD・BIM・バックオフィス・ITサポートなど、在宅で担当できる業務を特定する。TSUNAGU Academyのコンサルタントへの無料相談も活用できる。
  • 3アクション3:就労移行支援事業所・TSUNAGU Academyへの連絡を開始し、CAD・BIM・Power Platform等のスキルを習得した障害者候補者の情報収集を始める。採用から定着まで最低3ヶ月かかることを考慮した採用計画を立てる。

人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)を活用すると、障害者社員のCAD・BIM研修費用の一部が助成される可能性があります。詳細は最寄りのハローワーク・都道府県労働局にご確認ください。

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まとめ——建設業の障害者雇用は「今が転換点」

建設業が直面している障害者雇用の状況をまとめると、①除外率が30%→20%に引き下げられ、②法定雇用率が2.5%→2.7%に引き上げられ、③公共事業入札への影響がある、という三重の変化が同時進行しています。

「建設現場では障害者を雇えない」という発想から、「現場以外の職域——CAD・BIM・バックオフィスDXで障害者が活躍できる」という発想へのシフトが、建設業の障害者雇用問題を解決するカギです。TSUNAGU Academyは、建設会社の職域設計から採用・育成・定着まで、一体的な支援を提供しています。CAD・BIM人材育成のご相談も受け付けていますので、まずはお気軽にご連絡ください。

建設業の除外率引き下げ×法定雇用率2.7%引き上げ——このダブルパンチに対応し、公共事業入札への影響を最小限にするためには、今すぐ動き出すことが不可欠です。TSUNAGU Academyでは、建設業向けの障害者雇用相談・CAD/BIM人材育成のご相談を無料で承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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参考文献・一次資料

※本記事の内容は執筆時点の情報に基づきます。最新の法令・制度については、上記の一次資料をご確認ください。

障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 監修は水野 祐美子(プロフィールはこちら)。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。

監修:水野 祐美子
公開日:2026-05-16
更新日:2026-07-10