【2026年7月10日 施行後更新】2026年7月1日、法定雇用率2.7%が施行されました。警備業・施設管理業は除外率引き下げと法定雇用率引き上げのダブルパンチに直面しています。7月15日の報告書提出期限が迫る中、官公庁・病院・学校等の委託元からの「コンプライアンス遵守状況」への注目度は施行を機に一層高まっています。特に公共施設の警備委託契約の更新時期を迎える企業は、早急な雇用率達成が契約継続の条件になるケースも出てきています。本記事で解説した「後方業務設計」による職域創出——シフト管理・報告書整理・請求書処理のIT化——は、今すぐ着手できる現実的な解決策です。
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無料相談する警備業・施設管理業の障害者雇用除外率が引き下げられ、2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられます。この業界が特に注意すべきは、単なる納付金リスクだけではありません。官公庁・病院・学校・インフラ施設を守る「安全のプロ」として、労務・コンプライアンス管理が甘いと評価されることは、入札・委託先審査において致命的になりかねません。慢性的な人手不足を「現場警備員の採用困難」だけで考えていた会社は、この機に後方業務の職域設計を根本から見直す必要があります。
1. 警備業・施設管理業にも適用された除外率引き下げ
障害者雇用促進法の「除外率制度」は、業種の特性上、障害者の雇用が著しく困難と認められる場合に、雇用義務の算定基礎となる労働者数を一定割合で減じる特例です。建設業などと同様に、警備業・施設管理業もこの除外率が適用されてきた業種の一つです。
警備業に除外率が設定されてきた背景には、現場警備員の業務特性があります。立哨・巡回・交通誘導などの現場業務は、体力・集中力・緊急時対応能力が求められ、障害の種類・程度によっては安全上の制約が生じるケースがあります。また、施設管理業でも設備の保守点検・清掃・運搬などの現場作業が主体であることが、除外率設定の根拠とされてきました。
しかし、国の方針として除外率制度は段階的な廃止・引き下げが進められており、警備業・施設管理業でも除外率の引き下げが行われています。これに加えて2026年7月には法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられるため、両業種の企業が実際に雇用しなければならない障害者数は実質的に増加することになります。
| 従業員数 | 旧基準(除外率30%×2.5%)の義務数 | 新基準(除外率20%×2.7%)の義務数 | 実質増加 |
|---|---|---|---|
| 100名 | 100×0.7×2.5% = 1.75 → 1名 | 100×0.8×2.7% = 2.16 → 2名 | +1名 |
| 200名 | 200×0.7×2.5% = 3.5 → 3名 | 200×0.8×2.7% = 4.32 → 4名 | +1名 |
| 500名 | 500×0.7×2.5% = 8.75 → 8名 | 500×0.8×2.7% = 10.8 → 10名 | +2名 |
| 1000名 | 1000×0.7×2.5% = 17.5 → 17名 | 1000×0.8×2.7% = 21.6 → 21名 | +4名 |
※ 上記は概算です。実際の算定は常用雇用労働者数の定義・みなし規定・短時間労働者の扱いなど複数の要素が絡みます。正確な数値はハローワーク担当窓口にご確認ください。除外率の実際の数値・適用条件についても最新の省令・通達をご参照ください。
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無料相談する2. 警備業が特に注意すべき理由——「安全を守る会社」に問われる信頼性
法定雇用率未達によるリスクは、どの業界でも同様に「納付金・行政指導・社名公表」という3段階で発生します。しかし警備業・施設管理業は、これに加えてもう一つの深刻なリスクを抱えています。それは「委託元からの信頼失墜」です。
警備会社が警備・管理を受託する先を見てください。官公庁・公共施設・病院・学校・商業施設・インフラ施設(電力・ガス・交通)・イベント会場——これらは例外なく、コンプライアンスと社会的責任を強く求める組織です。発注側は警備会社の選定にあたって、技術・実績だけでなく「会社としての法令遵守体制」を重視します。
障害者雇用促進法という労働法規を守れていない会社が、「安全管理のプロ」として信頼されるでしょうか。特に官公庁・公共施設を受託する場合、発注元の行政機関自体が障害者雇用の旗振り役であることが多く、委託先に法令遵守を当然の前提として求めます。法定雇用率未達が判明した場合、入札参加要件の審査や業者選定のプロセスで不利になるリスクは現実的に存在します。

「安全を守る会社」が問われる法令遵守——委託元からの信頼は一度失うと取り戻しにくい
さらに警備業には特有の規制として「警備業法」があります。警備業者は都道府県公安委員会への認定が必要で、認定基準の一つに「法令を遵守する体制が整っていること」があります。労働関係法令の遵守状況が認定審査に影響する可能性があることを考えると、障害者雇用促進法の遵守は単なる「罰金を払えばいい話」では済まないのです。
3. 慢性的な人手不足——「現場警備員採用困難」だけで考えると解決しない
警備業は慢性的な人手不足業種として知られています。離職率が高く、現場警備員の確保に多くの企業が苦戦しています。「人手不足なのに障害者雇用も対応しなければならないのか」——こう感じている採用担当者は多いかもしれません。
問題は「警備業での障害者雇用=現場警備員を採用しなければならない」という思い込みです。現場の立哨・巡回・交通誘導は確かに体力・集中力・緊急対応能力を要し、障害の種類や程度によっては安全上の制約があります。しかし警備会社の業務は現場作業だけではありません。
警備会社の運営には、大量の「後方業務(バックオフィス業務)」が伴います。これらは現場に出ることなく、事務所や在宅で担当できる業務であり、かつ適切な設計があれば障害者社員が高い付加価値を発揮できる領域です。「後方業務の職域設計」こそが、警備業における障害者雇用問題の本質的な解決策です。
4. 警備業で設計できる後方業務——見落とされている職域
警備会社の後方業務は、実は非常に多岐にわたります。しかしその多くが「担当者の経験と勘」に頼った属人的な業務になっており、体系的な職域設計がされていないケースがほとんどです。ここを整理し、障害者社員が担当できる形に設計することが、今後の競争力を左右します。
| 後方業務カテゴリ | 具体的な業務内容 | 活用できるITツール | 在宅可否 |
|---|---|---|---|
| 管制補助 | コントロールルームのオペレーター補助、異常報告の一次記録・振り分け、監視ログの整理 | Excel / Teams / 管制システム入力 | △(一部在宅可) |
| シフト表作成・管理 | 警備員のシフト作成・変更調整、勤怠集計・残業管理、欠員時の連絡・代替手配補助 | Excel / Power Automate / 勤怠管理システム | ○(在宅可) |
| 報告書チェック・整理 | 現場警備員が提出した日報・事故報告書・点検記録の確認・整理・ファイリング | SharePoint / Power Automate / OCR | ○(在宅可) |
| 教育資料作成 | 警備員向けマニュアル・訓練資料・法改正対応資料の作成・更新 | PowerPoint / Word / Canva | ○(在宅可) |
| 契約書・請求書処理 | 委託先との契約書管理、月次請求書の作成・送付・入金確認 | Excel / Power Automate / 会計ソフト | ○(在宅可) |
| 監視カメラ記録整理 | 防犯カメラ映像のインデックス作成、保存期間管理、インシデント映像の抽出・記録 | Excel / 映像管理システム補助 | △(一部在宅可) |
| 電話一次受付 | 問い合わせ・苦情の一次対応、担当者への取り次ぎ、FAQ対応 | Teams / 電話代行ツール | ○(在宅可) |
これらの後方業務は、「決まった手順で正確に処理する」「繰り返し作業への集中力」「データを丁寧に整理する」という特性が活かされる業務です。発達障害(ASD・ADHD)・精神障害・身体障害などの障害特性を持つ方でも、適切な業務設計と環境整備があれば、高い生産性で担当できる可能性があります。

警備業の後方業務——現場に出なくても担える職域は思った以上に多い
シフト管理×Power Automate——属人化の解消と障害者活躍の両立
多くの警備会社でシフト管理は「担当者の経験とExcelの属人的な業務」になっています。Power Automateを使ったシフト集計の自動化・欠員アラートの自動通知・月次集計レポートの自動生成——これらを設計・運用する業務は、発達障害のある方が「論理的なルールに従って正確に処理する」特性を活かして活躍できる職域です。属人化解消と障害者雇用を同時に達成できる一石二鳥の取り組みです。
報告書・記録整理×SharePoint——ペーパーレス化で在宅業務化
現場警備員が手書きで提出する日報・点検記録・事故報告書は、その後の整理・保管・検索が課題になりがちです。SharePointを使った電子ファイリングシステムを構築し、OCRツールで手書き書類を電子化、フォルダ構造で整理・検索可能にする業務は、在宅で担当できるうえに、精神障害のある方が「定型の手順に沿って丁寧に処理する」特性を活かして取り組みやすい職域です。
5. 後方業務設計ができない会社が直面する入札・委託先評価でのリスク
警備業・施設管理業で障害者雇用の後方業務設計ができていない会社は、今後2つのリスクに直面します。
第一は「法定雇用率未達のまま放置した場合のコンプライアンスリスク」です。ハローワークによる指導・勧告を受け、最悪の場合は社名が公表されます。警備業・施設管理業の主要顧客である官公庁・公共施設は、入札参加要件の審査において「労働関係法令を遵守していること」を確認します。社名公表を受けた企業が官公庁案件の入札に参加しようとする場合、審査担当者が認識する「コンプライアンス上の懸念」は、入札成否に影響しうる現実的なリスクです。
第二は「委託先評価の厳格化への対応遅れ」です。ESG(環境・社会・ガバナンス)への関心の高まりに伴い、大手企業・官公庁は委託先のサプライチェーン全体における社会的責任を問い始めています。「障害者雇用率を達成しているか」「社会的包摂(インクルージョン)に取り組んでいるか」が委託先評価の項目に加わるケースが増えており、対応が遅れた警備・施設管理会社は競合他社に委託先選定で負け始めるリスクがあります。
- 1法定雇用率未達→ハローワーク指導→勧告→社名公表:官公庁・公共施設への入札・契約更新に影響するリスク
- 2委託先ESG評価の厳格化:「障害者雇用率達成」が評価項目に加わる大手・官公庁発注案件の増加
- 3求職者からの評判低下:「法令を守っていない会社」という評判は、現場警備員の採用にも悪影響を与え、慢性的な人手不足をさらに悪化させる悪循環
- 4競合他社との差別化機会の損失:後方業務DXで生産性を上げた競合会社に価格競争でも負けるリスク

入札・委託先評価で問われる「コンプライアンス体制」——後方業務設計が競争力の差になる
6. TSUNAGU AcademyでIT・DX後方業務人材を育成——警備業の新しい解決策
TSUNAGU Academyは、障害を持つ方のITスキル習得と就労定着を一体的に支援する育成型障害者雇用サービスです。Power Platform(Power Automate・Power BI・SharePoint・Power Apps)を中心とした研修プログラムにより、警備業・施設管理業の後方業務を担当できるIT・DX人材を育成します。
「シフト管理をExcelとPower Automateで自動化したい」「現場報告書をSharePointで電子化・一元管理したい」「監視カメラ記録のインデックスをデータベース化したい」——こうした後方業務のDX化を、障害者社員が主体的に担当できるよう、業務設計から研修・採用・定着まで一体的にサポートします。
| 業務課題 | TSUNAGU Academy活用の解決策 | 担当できる障害者像 |
|---|---|---|
| シフト管理の属人化 | Power Automate×Excelシフト自動化を習得した人材を育成 | 発達障害(論理・ルール処理) |
| 報告書・記録の紙管理 | SharePoint電子ファイリング構築・運用担当を育成 | 精神障害(定型・繰り返し処理) |
| 請求書・契約書処理の手作業 | Power Automate請求書処理自動化を習得した人材を育成 | 発達障害・精神障害 |
| 教育資料更新の遅れ | PowerPoint・Word研修資料作成担当を育成 | 身体障害(PC操作全般) |
| 電話対応の属人化 | Teams電話一次受付フロー設計・運用担当を育成 | 精神障害(明確手順・定型対応) |
TSUNAGU Academyの研修は在宅で受講できるため、「事業所や現場への通勤が難しい」障害者でも参加できます。週20時間の短時間勤務からスタートし、体調とスキルの習熟度に合わせて徐々に業務時間を増やすステップアップモデルに対応しており、入社後の定着率向上にもつながります。
人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)を活用すると、障害者社員のIT研修費用の一部が助成される可能性があります。警備業・施設管理業の後方業務DX人材育成への活用もご相談いただけます。詳細は最寄りのハローワーク・都道府県労働局にご確認ください。
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無料相談する7. 施設管理業も同様——「現場作業以外」の職域設計が急務
施設管理業(ビルメンテナンス・設備管理業)も、警備業と同様に除外率の引き下げ対象業種です。清掃・設備点検・修繕作業といった現場業務が主体ですが、こちらも「現場以外」の後方業務は非常に多く存在します。
- 1設備台帳・点検記録のデータ入力・整理(Excel / SharePoint)
- 2作業計画書・修繕報告書の作成・ファイリング
- 3法定点検スケジュール管理・期限アラート設定(Power Automate)
- 4省エネデータ・電力使用量の集計・グラフ化(Power BI)
- 5協力業者への発注・請求書照合処理の補助
- 6顧客からの問い合わせ・苦情の一次受付・振り分け(Teams)
- 7ISO・安全管理書類の更新・版管理
設備台帳の管理・法定点検記録のデータ化・省エネレポートの作成は、施設管理会社のバックオフィス業務として毎月発生する定型業務です。これらをIT化・自動化しながら障害者社員が担当する体制を構築することで、業務効率化と障害者雇用率達成を同時に実現できます。
8. 今すぐ取るべき3つのアクション
2026年7月の法定雇用率2.7%引き上げまで時間は残り少なくなっています。警備業・施設管理業が今すぐ取れる3つのアクションを整理します。
- 1アクション1【現状把握】除外率引き下げ後の自社の雇用率を再計算し、2026年7月基準(法定雇用率2.7%)での達成状況を確認する。ハローワーク担当者に相談し、正確な算定と不足数を把握する。
- 2アクション2【後方業務棚卸し】「現場以外で、PCを使って対応できる業務」のリストを作成する。シフト管理・報告書整理・請求書処理・教育資料作成・電話受付——これらをPCで処理できる形に整理し、週何時間の業務量があるかを試算する。
- 3アクション3【TSUNAGU Academy相談・就労移行事業所連携開始】後方業務のIT・DX化を担当できる障害者人材の育成・採用に向けて、TSUNAGU Academyへの無料相談を活用する。採用から配属まで最低3ヶ月かかることを考慮した採用計画を立てる。
まとめ——警備業・施設管理業の障害者雇用は「後方業務設計」が鍵
警備業・施設管理業が直面している状況をまとめると、①除外率が引き下げられ、②法定雇用率が2.7%に引き上げられ、③主要顧客(官公庁・病院・公共施設)からの「コンプライアンス遵守」要求が高まっている、という三重の変化が同時進行しています。
「現場に出られない障害者は雇えない」という発想から、「後方業務——シフト管理・報告書整理・請求書処理・教育資料作成・電話受付——をIT・DX化しながら障害者社員が担う」という発想へのシフトが、この問題の本質的な解決策です。後方業務の職域設計を早期に整備した会社は、法定雇用率の達成だけでなく、業務効率化・委託先評価での優位性・採用ブランド向上という複合的な競争優位を得ることができます。
警備業・施設管理業の後方業務DX×障害者雇用については、TSUNAGU Academyが個社の業務内容に合わせた職域設計から人材育成・採用支援まで、無料相談を承っています。「どんな業務を担当させればいいかわからない」という段階からお気軽にご相談ください。
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参考文献・一次資料
- 厚生労働省「障害者雇用率制度(除外率)」— 警備業・施設管理業の除外率引き下げに関する情報
- 警察庁「警備業法」— 警備業の法令・監督指針
- 厚生労働省「障害者雇用対策」— 法定雇用率2.7%への引き上げと対応策
※本記事の内容は執筆時点の情報に基づきます。最新の法令・制度については、上記の一次資料をご確認ください。
障害者雇用・IT/DX活用に関する情報を、人事担当者の視点でわかりやすく発信。 監修は水野 祐美子(プロフィールはこちら)。最新の制度・法令については各省庁の公式情報をご確認ください。







